読書感想文
冬の旅 立原正秋
昭和43年5月から昭和44年4月にかけて読売新聞夕刊に連載された。
文庫本は昭和48年5月発行
私がこの本を初めて読んだのは今から30数年前の中学3年生のときだった。
読書感想文の課題図書だった。
強烈な衝撃を受けた本でしたが、この本が行方不明になっていた。
そして、ずっと読み直したい本であり続けた。
ふと思い出してAmazonで検索したら、当時とは表紙は異なれども、この本が販売されていた。
Amazonで買物が出来ない私は長女に頼み込んで買って貰った。(当然、代金は私が支払い)
この主人公の少年がなにを考え、周りの人達に影響を与えて続ける。
何故当時の先生がこの本を中学3年生の課題図書にしたのか。
それは、私達に“考えて、考えぬくことの大切さ”を私達に伝えたかったのかと、今読み終えてそう思える。
思慮深く考えること。
そして、考え抜いたことを行動に移すこと。
更に言えば、大妻コタカ先生の『いつでも何処でも、何からでも学べ』ということを実践することの大切さ。
五十路を超えてこの本を読み直してみると、
日々に生活で忘れていることを叱られているようにも読み込める。
錦繍 宮本輝を読み終えて、
この冬の旅 立原正秋を読み終えた。
かなしい本が続いたが、
秋には『股引きあっぱ』の本であった。
※
股引きあっぱ とは?
昭和の高度経済成長時に地元の左官屋の爺さんの名言なんです。
股引きをはいたまま、和便器で○○コをすると、○○コが股引きに“ピタぴったりくっつく”状態に、なるんだという。
とってもぴったりのことを、
地元職人はピタピッタリ股引きあっぱと今でも言う。
大工仕事であれば、部材と部材が隙間なくピッタリとくっついた時に、ピタピッタリ股引きあっぱと言う。
以下備忘録
「同時に、修一郎をここまで追い込んでしまったのもあなたです」
人間生活の現象と道徳の本質を、これだけ明確につかみ、そして実践している少年に、私は長い法務官生活の中で初めて出会ったのです。
「俺か。まあね、宇野はそんな性分に生まれついている、と思っているだけさ。あいつは、正義感じゃないんだ。正義感なら周りから同情を寄せられるが、あいつの性格には、こちらが入り込む余地がないと言えばいいかなぁ、あいつは倫理そのものだよ』
人間、一生のうち、なにかの機会に、転身することが幾度もあるような気がいたします。持って生まれた性格は変わらないにしても、転身することによってその人間はある程度変わっていくのではないか、と思います。